スタイル

想像

基本として、私どもが考えるスタンスは、エレガント、シャープ、スマート、セクシー、ダンディー。そして男性が男性らしく、女性は女性らしい、ミニマムで色気のある艶っぽい装いであります。服を身にまとうということは、自分の人生を着ることで個人個人の知性、経験、教養、美学が現れる行為であると考えています。つまり、上で述べたことのどれかは必ず共通するスタンスであると考えています。これらの共通項を模索しながら、クライアント一人一人の理想とするスタイルを創りあげていくのが私どもの役割であります。おぼろげな想像を時間をかけ、話合い、少しづつ輪郭をはっきりとさせていく、この気の遠くなるような作業がBESPOKEの醍醐味の一つでもあります。見たことないモノを想像しつくるから不安と考えるのではなく、ないモノだからこそ仕上がりを想像し愉しむ事です!

2007年4月よりドレススタイルに新たな革命を起こそうと、スーツ、シャツ、シューズ、バックとトータルコーディネートでの提案。今までのBESPOKE(誂え)の店舗では、餅は餅屋みたいに、各々が個別に起動していたため、どこか違和感が生じていました。それは、コンセプトで述べたように、ドレススタイルの主体はあくまでスーツである。それに、シューズ、シャツ、バッグが連動する。どれが欠けても成立しないものだからこそ、各々で起動しているよりも一つの場所で活動すべきであると。そして、そこに素材と連動し、シチュエーションを考え、色と掛け合わせていくと、新たなコーディネートが生まれる。それは、今まで見たことのない新しいモノに出来上がる。実際、クラシカルなカラー(黒、グレー、紺など)のスーツ地に、ライトブラウンシューズ、バッグの合わせは定番である。しかし、私としては、何処かしっくりこない。実際、スーツを一番フォーマルにするのは、黒の靴、黒のカバンである。茶系の靴を持ってくるのは、遊びのコーディネートである。だからこそ思い切って、赤を提案してみた。さすがに、ビジネスでの商談時などには向かないが、確実にきれいなコーディネートに仕上がり、一部のクライアントにはかなり強い共感を得ることが出来た。素材自体の流通も少なく目にすることが少ない合わせであるから物珍しく感じてしまうが、実際はライトブランの合わせなんかよりもシックに決まるのである(赤は、ブラッディレッドに限りますが)一番、共感を得たコーディネートは、黒ベースのピンストライプに赤のシューズ、そして赤のダレスバッグ、シャツはWHITEにピンクベースのドッドタイである。スーツのスタイル、シューズのデザインは、もちろんの事ながら、個人個人の独創性あるスタイルで選択しています。ただ、新しい提案としては、成功であると思う。

そして、この靴とパンツの合わせでは、靴のアッパーのデザインから提案している。それは、サイドレースのストレートチップとワンピース(一枚甲)である。この提案のもくろみは、長時間の着用でも足の甲への圧迫が少なく、むくみでの足のストレスを軽減すること。それでいて、レースアップということで、サイドゴアやバンプよりもホールドに優れていること。そして、一番はパンツのクリースラインは、親指と人差し指の間に落とすように裁断しているので、それを邪魔せず綺麗にしてくれることである。パンツが最も美しく見えるラインは、クリースラインが親指と人差し指の間に落ちることである、すると靴のつま先の若干内側にくる。木型は、内振りに設定しているので、つま先、そしてクリースラインを通り、上着の前身頃の中点を通る。無地のスーツでは分かりにくいが、縞模様やチェック柄であれば、バスト線上からつま先まで、きれいに縞がとおり一つのつながりが出来る。勿論ベストがある場合もベストの前身頃の中点を通すのである。これが、柄の合わせを考えた見せ方の一つであり、スーツと靴が連動し、美しい一体感を生むのである。

憧れ

2009年の春夏のテーマはフォーマルとドレスカジュアル。昨今のクールビズの影響で、春夏の装いがとんでもなくカジュアルになっている。ポロシャツにチノパンそしてスニーカーなんて姿もちょくちょく見かける。政治家の夏のスタイルなんかもみすぼらしく感じてしまいます。五十,六十過ぎた日本の官僚がノータイでいる日本という国は、どうなんだと!国を動かし国民の憧れ、希望となるべき人達があれでは、憧れる気にもなれない。ノータイでいるなら、せめて3Pを着用しチーフくらい挿す事くらい考えられないものかと思う。不景気の問題を報道関係全般が煽り立て、政治家の献金問題、こんな事ばかりでは良くなる事も良くならない。それよりも、このような最悪な状況からはい上がり、夢を現実にし叶える希望の道を進むべきである。私たちの日常には夢のような事だったことが現実になっていることは、皆さんも実感しているはずなのに、日常にとけ込みすぎて僕たちは忘れている。考えてもみて下さい、携帯電話、薄型テレビ、PC、人型ロボットのアシモ、夢を持ち続け行動すれば、現実になるのだと!僕が思うに、モノ・事を想像し、形にするには、ある種バカになって前にのみ突き進む根性が必要ではないでしょうか。国を良くする為にも、信念を貫き、本当の意味での国益を考えるべきであると!付け焼き刃な改革や小手先の言い訳なんかいらないわけで、道は一つなのではないでしょうか! 道は険しい! だからこそ、進まねば、道は開けないと!!! 装いの変化も、人の上がる力に関係してると僕は考えています。

このような状況もあり、敢えて春夏というカジュアルな装いが増える時期にフォーマルスタイルを提案し、自ら心を奮い立たせる装いを試みようと。スーツの生地は、シルクやシルクウールの光沢のある素材。足下は、ボックスカーフの極めてミニマムなバンプもしくは赤い一枚甲。そしてVゾーンは、光沢のあるジャガード素材のコットンのシャツに、サテン地の美ビットカラーのタイ。ドレスカジュアルでは、こちらもシルク、シルクウールのメッシュ地、色目はペールトンのライラックやピンク。そしてボトムは敢えてジーンズではなく、科学の結晶である最先端生地のホワイトパンツ。足下は、白のバンプや、迷彩のオパンケ。Vゾーンもジャケット+パンツスタイルに敢えてタイトアップで!!! このような世界的不況であるからこそ、しっかりした装いが個々の人達の力を盛り上げてくれると僕は信じています。

革命

styleの提案の基本は、個々の独創性を重んじる。しかし、そればかりでは、昔ながらのスタンスであるし、新たなモノは生まれてこない。押しつけではない、新たな提案をさせてもらいながら、クライアント各々が、使い分けて頂けたらいいと思っています。使い分けていただくためにも、様々なシチュエーションの最低限の決まりを知って頂く必要があります。冠婚葬祭、シーズン、様々なパーティー、と行く先々での最低限の決まりがあります。そして、何よりも大事なのは、季節に応じた装い!!! これは、かなり一般の方々には欠けている!!!季節を間違って着てしまえば、どんなに自分自身が格好良く決めてるつもりでも、はたから見ると服を持ってない人にしか映りませんから。色の提案、コーディネートの提案、使えるところ、参考になる所は、取り入れてもらい自身の糧としてもらえればいいのではないでしょうか。これから訪れるであろう様々なシーンの為にも最低限の基本をとり揃え、組み合わせをどんどんふやしていってもらえばと思っています。人というのは、新しい事柄を目の当たりにしたとき、まずは否定から入る傾向にあると思われる。試して自身がリスクを背負うことよりも、拒み嫌う方が簡単でいて、他人との会話もとりやすく気も楽であるから。しかし、受け入れる人、受け入れの早い人は、リスクをともないながらも前に進んでいる訳であるから成功しても、失敗しても自身の引き出しをふやしたことになる。勿論、失敗は避けるべきである。その失敗を防ぐ為にOguriが存在し、プロとしての最高の仕事をまっとうする。シルエット、色、フィッテイング、スタイル、素材など、生活環境、ビジネス環境を考慮し話し合いながら、個人個人の升を徐々に広げ、新しい明日への一歩を切り開くのである。