Bespoke (誂え、Order )の道に進み、早9年。
この道のりの中、工場生産でのBESPOKE を経て、
そして師匠に出会い、ハンドメイドのBESPOKE に移行していきました。
僕自身も自ら針を持ち、職人の技術を修得し、縫い上げています。
そうして、Sinner LineとOguri Lineという二つのLineを設けることが
できたのです。
九年目にして、ふと昔話をしていたときの事です。
”昔から比べると、技術も価格も上がったな〜。
これやったら、昔の僕ら 手ぇ〜でへんな〜。”って。
確かに!!!
僕が店を始めたのが26歳。
服が好きで、技術が好きで、いつか最高のスーツを
作れる店になってやろうという野望を抱いていた頃。
やっと、トータルで提供出来るようになった。
そして、スーツが格好いいと言うことをもっと色んな人達に知っていただきたいと言う思いがこみ上げてきた。
Sinner LineとOguri Lineでは、納期の問題、金額の問題がある。
納期においては、最低三が月の期間が必要だし、金額においては30万強からのスタートになる。僕が二十六歳の時に、この待ち期間と金額を受け入れ頻繁に注文できただろうか?
そんな事を考えているとき、今コンビを組ましてもらっている工場のことを思い出し早速、連絡。型紙を製作して、いざ工場へ!!!
工場の型紙とは、全く違う。あくまでも、Sinner Line、Oguri Lineのシルエット、運動量が必要不可欠である。
縫製面での追加や、裏地のきせのとり方を話し合いサンプルを製作。
今回のSKB Lineは、シルエットの良さ、運動量、買いやすい価格という三つの
キーワードをモトに企画しました。不要な飾りなんかは全てオミットし
結果、納得していただけるモノが出来たと思います。
(始めた当初は、パンツの腿や渡り幅でミスを犯しましたが、今では理由も分かり
大丈夫)
そんなこんなで始めたんですが、今の世の中はどうだろうか?
大手企業の努力(?)により訳が分からない価格の衣類がはびこっている。
ユニ○ロやH○Mが悪いとは言わないが、騒ぎ過ぎだろう!!!
あの値段帯を購入することは、昔はいわゆるかっこ悪い事であった。
それが今や、当たり前になり、低価格のもので客を釣る方法が、企業側の
餌となっている。
なんかおかしくないこの状況!!!
エコ、エコと世界各国でひっきりなしに騒ぎ、どの企業もエコ、環境問題と歌っているのにも関わらず、大量生産、大量消費を促している。
なんて、矛盾しているのだろうか?
よく考えて見て下さい、安価な商品を作る為には、どうするか?
素材を大量にタタキ買い、大量発注する。そして、低賃金の国で生産する。
で、出来上がったのが一本800円のジーンズである。
この、ジーンズの価格の中にも、莫大な広告費も入っているんですよ!!!
一体、何万本作って、どんだけの消化率をかんがえているんでしょうかね。
スーツに至っても、二着2万円とか、3万円とか。それでいて、CM広告や新聞広告などを大きく打ち、しかもすばらしい技術やなんとかと歌っている。
せめて、メディアにでかでかと出すのであれば、女性の上着の袖丈くらいキチンとあわさなあかんでしょ!!!
男に関しては、上着丈が寸足らずやし・・・・。
寸法くらい合わそうよ!!!
モノを作ることにおいて、あまりにも低価格に走り過ぎている。
価格が、安くなる事は、機械の開発や躍進により生産スピードが上がり、結果として、生産数が上がる。
しかし、キチンと最低限の機能を損なわず作るには、人の手の技術が必ず不可欠である。
それを押しのけ価格のみの宣伝で、人々を誘導するのは洗脳してるようにしか思えない。
価格が安い高いは、個人差が必ずある。そのものを購入する際の物差しをしっかり自身が測れる人間にならなければならない。
自分が購入したモノを自信を持って、後世に伝える事が果たしてできる人が一体どれだけいるであろうか?
自分のジーさんや親父が着ていたスーツやねんって、自慢できる事ってものすごく大事なことではないだろうか!
今の企業の考え方は、世代を超えたバトンタッチを全く考えていない!!!
だから、文化が伝わらないのである。文化が、若い世代に伝わらないということは、国が滅ぶんですよ!!!五年や十年の存続だけを考え、これで売れなくなったらまた次へ。
そんな、消費だけでは、何も生まれないし、何も守れない!!!
今、私たちがすべき事は、このすばらしい地球を後世に残し、私たちが持てる知的財産、すなわち技術や文化を伝えることにある。
その為の教育、教養、知識を得る勉学を個々が行うこと!!!それが、今必要な事ではないでしょうか。
金額の問題ではなく、誰もが幸せになる為のもの作りがこの殺伐とした時代に、必要であるとはおもいませんか?
手で作るのか、機械で作るのかという問題よりも、確かなもの作り。企業が自信を持って、お客様に伝える事のもの作りこそが大事である。
マーケティングにばかり気をとられたもの作りでは、人を幸せにすることなんかできない。
なぜ、多くの大企業が気付かないか不思議である。
自らの手で自らの価値を下げているのを気付かない事こそ滑稽なことはない。
今このようだ金融危機の時代だからこそ、自国での生産を促し、諸外国に認めて
もらえる”モノ”を創り上げ、自国のポリシーを確立することが大事ではないだろうか。高いか安いかという価格云々ではなく、技術と美学が連動した誰もが憧れ、主張出来るもの作りが大切であると、僕は考えています。
このへんてこな時代、前進あるのみと考えてしまう!!!