スーツ、靴、シャツ、銀細工、カバン、タイと自分が考える最高のモノが出来上がってきている。
お客さんたちにも喜んで頂いていると思う。ただ、納期が・・・・。
機械縫製のスピードにはとうてい追いつけない。
でも、手仕事に執着する自分がいる。それは何故か?
繊細かつ強靱なつくり、色あせるのではなく経年変化と共に美という言葉が
相応しいアイテム。
どんどん作れる職人が減少する中で、なんとかかんとか息を絶やさずにいる。
そんな中で、うちに足りなかったアイテム。メンズスタイルにおいて必要不可欠なアイテムなのに、なかった。
それが、ベルト、財布、名刺入れなどのLEATHER GOODSである。
まず、企画しなかった訳は、革!!!
考えても考えても、なかなか思いつかなかった。これで良いのか、これで良いのかと試行錯誤するのが続き、日々の忙しさにかまかけて、ずぼらしていた。
しかし、うちの新しいスーツのウエストのシェイプになると、今僕が使っているH社の長財布では、なんぼ内ポケットの位置を上にしたって、サイ腹のくびれに引っかかる。ポケットの口を前に持っていくのも限界がある。
何故、こうなるか。それは財布の縦のサイズが約1cmでかいのである。
突っかかるから、表にイヤなシワもでるしましてや裏地に負担がかかる。
負担がかかるとシルクの裏地の場合、そこが摩耗し裏地が裂けていく。
特に僕のように小さい身長だと、前身頃の縦の距離と横の距離が短いから、
ポケットの位置取りも大きい人のように配置がたやすくない。
なら、内ポケットを作らずカバン持てよって、話なのだが仕事の話以外でカバンを持っていくのは、僕にとっては自殺行為である(昔、カバンに現金000万円入れてて落とした経験より笑。 まぁ、いい人が拾ってくれていて助かったのだが)
でそれ以来、財布、携帯、ペン、名刺入れ、ライター、タバコ、で、チケットが必ず収まる身返しの仕様にしている。僕にとって、スーツは
ある意味カバンみたいな物である。
でいて、くびれの利いたダンディーなシルエットを出すのに一役買うのが
財布や名刺入れの隠れた名脇役達である。
今回の財布、名刺入れの醍醐味は薄さ、サイズ、高級感、手縫い、劣化速度に気を配って企画。
まず、革!!!一日に何度も手に持つ物であるから、キズがつきやすい。
そして、スーツの裏地の劣化を防ぐ為、渋鞣しは絶対ダメ!!!(キュプラやポリエステルなら大丈夫)
ポケット口もシルクなので油が付くとそこがすぐに摩耗しすり切れる。勿論、名刺入れ、ベルトも同じ事。
スーツやベストの裏地に擦れるから、全く持ってNG
そう言うわけで、クロム鞣しで、しぼ革で色数があり、手縫いに向くものまぁ、なかった。
行き着いたところが、WEINHEIMER WAPROLUX !!!
Sinnerの場合赤がないとはじまらない!!!だって、あれだけ靴も赤って!!!
展開色は、黒、赤、白、キャメルの4色。
次に高級感。結構なお値段する財布でも、札入れの中やポケットの中は、
共革ではない事が多い。実際僕の使っているのもそうなっている。
いつも、そこがみみっちい感じがして僕は萎えていた。で、今回は極限まで薄く透いて、札入れポケットをわさでとることにより、一つのパーツとして確立出来た。わさでとっているから変な貼り合わせにならずかつ縫いもきっちり
かかっているので、問題はない。
右と左のサイズも変え高さを9cmに!!!左右のバランスを変えることで、9㎝
を保った。その9㎝を保つ為、力点に芯を入れてまがりを良くしている。
中を赤にしているのは僕の好みである。個人個人が、色々な組み合わせを考えて
もらえばいいですね。
スペックは縦9cm、横17.6cm、マチは最大1.2cm
カードポケット× 6、札入れ×1、ポケット×3
とコンパクトにまとめました。
名刺入れは、容量、格好、出し入れのし易さを考え、箱縫いにしている。
勿論この縫いは手縫いでしか存在しない。(ミシンでいっているものは、ステッチか利いていない。ダミーステッチである)
うちのスーツなら、身返しの名刺ポケットにきっちり収まるサイズである。
(これも中が赤なのは、僕の好みです。
開けた時に意外性があることが良いかなと)
サイズは縦9.6cm、横6.2cm、マチ1.6cm
いわゆる普通の名刺なら約40枚収納できます。
ベルトは、ズーッとお客さんから求められてました。
これも、上で述べた理由で展開していませんでした。
靴に合わしてええベルトを探そうとも中々ないでしょ。
そして、ベルトの幅!!!
通常、スーツのパンツの帯幅は、3.5cm。これに合わすなら僕の考えるバッチリな
ベルトの幅は、3.3cmである。このベルト幅なら、ちょうどスーツの帯が隠れる。
ですが、世間一般のプロダクトは、3.5cmと3cmのベルトの幅がほとんどである。
それは、何故か?持論だが、金具を展開するにあたり3.3cmと3.5cmではあまり違いがないと考え、違いをつけるために3cmと3.5cmにしたのであろう。
そんなに、大きな違いはないが、どうせ作るならきちんとしたサイズが良いに決まっている。
そして、プレートタイプのバックルを展開しているのは、用途に応じ組み合わせを変えて頂きたいからである。
色んな組み合わせが出来るのも楽しいし、リバーシブルとなるとコーディネートも二倍にある。色違いであるが、表裏の革が一緒ということは、革の強度が同じ
である。これも、劣化を防ぐ一つの方法なのです。(曲を考えると腰裏は柔らかい革や滑りにくい革を使用するのだが、腰に巻くのであれば曲も急激ではないので、あまり影響はない。)
とこんな感じで、Sinnerの展開アイテムに幅が出来ました。
これからも、宜しくお願いします。